秘書のお仕事
第8章 失態
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『じゃあね』
「おう、またな」
会社に入ったところで、あたしは涼と別れた
エレベーターに乗り込む前に、涼が廊下の角を曲がるまでを見送る
『…///』
小さくなった涼の背中が完全に見えなくなってから
つい昨夜のことを思い出してしまう
ああー、あたしニヤニヤするな
頬をペシペシと叩いて後ろを振り返ると、いきなり何かにぶつかった
『んぎゃっ』
顔を押さえながら、謝ろうとして見上げた
しかしそのあたしの口も、すぐに閉じられる
「お前の男か」
思い切り見下した視線を、あたしに注いでくる
『お…はようございます…社長…』