
秘書のお仕事
第8章 失態
「ふんっ」
社長は踵を返すと、さっさとエレベーターに乗った
あたしはエレベーターを前に、立ち尽くす
だって、超乗りづらいでしょ…
何となく、社長となんて…
「乗らないのか?」
『え…』
あたしは咄嗟に足を一歩出したが、すぐに引っ込めた
『どうぞ…お先に』
「…」
眉間にシワを寄せたまま、社長は開ボタンを押している
早く乗れ
というのが、空気からヒシヒシと伝わってくる
『は…はい、すみません…』
結局あたしは、エレベーターに乗り込んだ
社長がボタンから指を離すと、扉はゆっくりと閉まった
