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BL~中編・長編集~

第7章 ~むかしむかしの恋物語~

伊代が百の言葉に頷いた時、冷たい声が聞こえました。

「お母さん!?」

「私たちウサギは耳がいいのよ? 話し声は家の中からでも聞こえたわ。」

声のした方を振り返ると、伊代のお母さんとお父さんが立っておりました。

「伊代、家の中に戻りなさい。」

「・・ゃっ・・・ぃやだ!!」

伊代は必死に百にしがみつきます。

「言う事を聞きなさい。 逆らうことは許しませんよ。」

「・・・ッ・・・・」

お母さんの冷たい視線に、伊代は凍りつきます。

「すみません。」

「ぅわっ!?」

百は凍りついている伊代を、ひょいと背中に乗せました。

「あなたに言ったはずよ? もう、この子に近づくなって。」

「ええ、確かに。 しかし・・・」

百は伊代のお母さんを睨みつけました。

「伊代が俺と一緒にいる事を望んでくれている限り、俺は伊代と離れるつもりはありません。」

「百・・・・」

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