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BL~中編・長編集~

第7章 ~むかしむかしの恋物語~

百の言葉に、伊代は嬉しそうに微笑みました。

「伊代は、俺がもらいます。」

「勝手なことは許しません!!」

百は、そう言うが早いが、全速力で森の中を駆けて行きました。

「待ちなさいっ!!」

「母さん。」

追いかけようとするお母さんを止めたのは、お父さんでした。

「なんですか!? 早く追いかけないと、あの子が・・・」

「もういいじゃないか。」

「っ!? 何を言って・・・」

お父さんは、悲しそうにお母さんを見つめます。

「私は、今まで何も言わずにお前の好きにさせていたが、伊代はそれで幸せだったのか?」

「当たり前でしょ!?」

お母さんは、お父さんのことを睨みつけました。

「私は、伊代が生まれてから17年間、ずっとあの子のことを見てきた。」

「それは、私だって・・・・」

お父さんは、お母さんの言葉を遮りました。

「なら、お前は見たことあるか? 伊代の、あんなに嬉しそうな顔を・・・」

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