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BL~中編・長編集~

第8章 ~幸せはすぐそこに~

「・・・全部だ。」

翠の姿を見ずにそう告げ、生徒会室を後にした。

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屋上の端ぎりぎりに立ち、潤との思い出を思い返す。

そういえば、初めてキスしたのはこの屋上だったな━・・・

この学校は屋上は立ち入り禁止だ。

生徒会長の潤は、先生にうまいこと言って、屋上のカギを借りてきたことがあった。

一緒にお昼を食べている時に、なんとなくそういう雰囲気になって、初めて唇を重ねたのだ。

潤を好きにならなければ、こんなことにはならなかったのかもしれない。

「・・・・・」

でも、潤を好きになったことを後悔はしない。

これで、よかったんだ。

潤は何も悪くない。

俺が弱いだけだ。

大好きな人を守ることさえできなかった。

「男として失格だな。」

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