テキストサイズ

BL~中編・長編集~

第8章 ~幸せはすぐそこに~

豊が死んでから3年の月日が経った。

今日は、豊の命日だ。

豊の墓の前に立ち、あの日のことを思い出す。

後から思ったことだが、豊が死んだあの屋上は、俺たちが初めてキスをした場所で、あの日は豊と付き合い始めてちょうど1年目の日と同じ日だった。

『幸せになれよ。』

思えば、あれは豊の最初で最後のわがままだった。

一体どんな思いであの言葉を言ったのか、考えるだけで涙が出てきそうになる。

せめて、その願いだけでもかなえてやりたい。

「潤ー!!」

「雪。」

豊・・・見てるか?
俺は今、幸せだよ。

「はい、お花。」

「ありがとう。」

お前の分まで幸せになるから。

だから、俺がそっちに行ったら・・・・

━━━━今度こそ、一緒に幸せになろう。


~END~

ストーリーメニュー

TOPTOPへ