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BL~中編・長編集~

第9章 ~大切なもの~

思えばこの三か月、誰かと家でご飯なんて食べていない。

この温かさ・・・忘れてた気がする。

「・・・・」

「・・・そろそろ行くか。」

俺の気持ちを察したのか、吉村はそう言って立ち上がった。

「あ、あぁ。」

立ち上がり、吉村から鞄を受け取ると二人で家を出た。

「今日、竹内教授の講義休みだったよな?」

「そうだったっけ? じゃあ、午後は空くな。」

うーん・・・お昼ご飯どうしよう。

午後の講義が休みなの忘れてたな。

「昼どうする?」

「どっかで食って帰るか? それとも作る?」

俺の言葉に、吉村は少し考え込んだ。

「あぁ~・・・作ってほしいかも。 俺、誰かの手料理食べたの久しぶりだし。」

朝食を思い出したのか、吉村はそう言ってきた。

「わかった。 じゃあ、帰りスーパー寄って行こう。」

俺はその言葉に笑って頷いた。

誰かのために料理を作るなんて、久しぶりだ。

最近は、カップラーメンばっかりだったし。

「あぁ。 楽しみにしてるぜ。」

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