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BL~中編・長編集~

第9章 ~大切なもの~

「そうそう。 カレーうまかったよ。 ありがとな。」

「あぁ・・・口に合ってよかった。」

「それ、どういうこと?」

吉村の声ではないものが聞こえて、驚いて振り返る。

「か・・・ずま・・・・」

「奏多~・・・・俺以外にカレー作ったの?」

うっ・・・一馬の笑顔が怖い。

一馬はにっこり笑ってはいるが、明らかに怒っていて・・・・

「あ、そうだ。」

「?」

吉村はなにか思い出したのか、俺の耳元で小声で話してきた。

「実はさ・・・俺、立花と中高一緒だったんだけど・・・・」

「は!?」

そんなの一言も聞いてねぇぞ!?

「あいつ、かな~り嫉妬深いから覚悟しとけよ?」

「え゛!!?」

吉村はそう言うと、楽しそうに笑いながら教室を出て行った。

「で、奏多君? さっきの話はどういうことなのかな?」

「ぇ、いや、その・・・・」

そういえば俺・・・一馬と付き合い始めた頃に、約束したんだっけ?

『このカレー・・・・俺のためだけに作ってくれないか?』

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