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BL~中編・長編集~

第16章 ~Riproduzione~

「・・・・」

俺のせいで・・・・あいつは、16歳の若さでこの世を去ってしまった。

「潤!!」

「・・・・雪(せつ)。」

あいつの最初で最後の願いを、俺は叶えた。

雪は・・・豊のことで苦しんでいた俺を救ってくれた。

「体の具合はどう?」

「今日は結構いいよ。」

俺の答えを聞いて、雪は嬉しそうに微笑んだ。

「よかった。」

こうして屋上で雪と話していると、幸せを実感する。

「今朝のご飯は?」

「焼き鮭と、卵の味噌汁。」

他愛もない会話をしていると、頭の中に今朝の夢の声が聞こえてきた。

━あなたはいつに戻りたいですか?━

「っ!!?」

「潤?」

次の瞬間、心臓が激しい痛みに襲われた。

「潤!!!?」

「ぐっ・・・」

高校生のあの頃ですか? 大切な人を守れなかった・・・あの頃ですか?

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