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BL~中編・長編集~

第20章 ~君は親友~

安藤を好きだと自覚してから一週間…

結局、自分の気持ちを伝えられず、気がつけば一週間経っていた。

(あぁ~…俺ってヘタレかも…)

深くため息をついた。

今日は安藤と一緒に映画を見に行く予定だ。

現在9時40分―

約束の20分前である。

(どんだけ早く来てんだよ俺…)

自分に呆れて再び深くため息をつく。
―と、後ろから声を掛けられた。

「先輩!! すみません。 待たせちゃいましたか?」

振り返ると、息を切らせた安藤が立っていた。

「待たせたって…お前な…まだ約束の時間じゃないだろ?」

「わかってますけど…だって…寒いじゃないですか…」

確かに、今は11月の下旬…
寒い事には寒いが…

「お前…普通それ男に言うか?」

「え…?」

安藤は驚いたようで、少し言葉を失った。

「だからさ…そういうのは、女子に言えよな…」

そう言いながら、先に歩いて行く。

(女子だったら、言われたら嬉しいんだろうけど…)

先に行く俺を見て、安藤は慌てて追いかけてきた。

「あっ、待って下さい!!」

安藤は小走りで俺の隣まで来ると、少し小さい声で尋ねてきた。

「あの、先輩…気を悪くしたならすみません。
でも、僕、先輩を待たせてしまったのが申し訳なくて…」

その言葉に、俺は立ち止まって安藤を振り返った。

安藤は悲しそうな顔をしていて…

そんな安藤を見て俺は小さく笑った。

「わかってるよ。 お前が俺の体を心配してくれてる事くらい…その…ありが…と…う…」

恥ずかしくて、思わず目を逸らしてしまったが、頭上から安藤が笑っているのが聞こえた。

「先輩…可愛い…」

「うっ、うるさい!!///」

顔がだんだん赤くなるのが分かる…

「もう、先行くぞ!!」

「あっ、ちょっ、先輩!!」

…安藤を好きだと自覚してからというもの、こうなる事が増えてきた。

自分が変に安藤を意識してしまっているからである。

「先輩~、ちょっと待って下さいよ~」

安藤の言葉を無視して先にスタスタと歩いて行く。

そうこうしている間に映画館に着いてしまった。

「ひどいじゃないですか、先輩…」

少しすると、安藤が追いついてきた。
その声に振り返ると、半泣きの安藤がいて…

「そんなに嫌でしたか?」

「…なにが…?」

半泣き状態の安藤に驚きつつも、声を絞り出す。

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