なんやかんやでモテる主人公
第19章 ありきたりなエゴ
ビルの上からいつもの景色を見る。
真っ白な雪が
ふわふわと空を舞っていた。
今年はよく雪が降るな。
最高気温4℃の今日は
窓も白く曇って
ますます、心に何かが引っ掛かる。
さすがに…もういないだろう。
ガチャン…
ドアが途中で何かに
つっかえて開かなくなる。
「…まぁこ」
体育座りをしている
彼女は、小刻みに震えていて
真っ白な顔に、鼻を赤くして
僕を見上げた。
「……お兄ちゃん…」
「帰れって言ったの
…聞こえなかった?」
そう言って、彼女の腕を引っ張り
部屋の中へ連れ込んだ。
実際には、僕の胸の中に。