なんやかんやでモテる主人公
第19章 ありきたりなエゴ
そして、耳元で
消え入りそうな声をして
「…ごめんね…
すぐに戻ってくるからね…!」
バタンッと扉が閉まる音が聞こえて
僕は右耳を押さえる。
聞こえるのは
彼女の声じゃなくて
血液の流れるような音。
僕は、開きっぱなしの冷蔵庫を閉めて
冷蔵庫近くにあった
インスタントのお粥に目をやった。
似てるんだよ。凄く。
おせっかいな所
泣き虫な所
強がりな所
弱い所に鈍感でドジな所
そして…僕を狂わす所。
全て僕を迷わせ引きつけるんだ。
僕は、インスタントのお粥を
握りしめたまま
何かを我慢するように
息をのんだ。