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↑逆転↓御斗戯世界

第10章 束の間の休息

【Side: 璃斗】

バナナを食べ終えて、いよいよ出発!かと思いきや、ウィザードはいきなり近くに落ちていた木の棒で、地面に何かを描き始めた。

これは………魔方陣ね!!間違いないわ、だってこんなハイレベルな落書き見たことないもの!

スラスラと地面に円を書いて、その中にさらにごちゃこちゃと描いていくウィザードの後ろで、私はそれを観察していた。よくもまぁ、何も見ずにそんな細かいものが描けるなぁ…。

今更ながら気づいたけど、ウィザードの首の後ろにあるおっきな赤いリボンが可愛い。え、なんでそんな乙女っぽいコーディネートしてんの?白と黒のなんかベルトがいっぱいある、中二病心を擽る格好いい服と色は合ってるけど、なんというか、意外だ。

「っと、できた。オラ、こっちこい。」

描き終えたウィザードが近くにいた私の腕を掴み、引き寄せた。いきなりのことだったから足が縺れて、ウィザードの体に激突した。

「ちょっと、痛いじゃない!」

「悪い。」

少しも悪びれた様子もなく、引き寄せた私の足の裏に手を入れ、ウィザードは突然私を横抱きにした。

「な、何してんよッ!!」

「おい暴れるなっ!」

「じゃあ降ろしなさいよ!いきなり持ち上げるとかやめ…っ」

その時、ウィザードの足下の魔方陣らしきものが、真っ赤に光始めた。思わず暴れていた体を止めて真下の魔方陣を眺めた。

すると、その魔方陣から赤い粒子が出てきた。とっても綺麗でまるで蛍のようだった。

「しっかり捕まってろよ、じゃねぇと変なところにいっちまうぞ。」

「え、」

いきなりそう言われたら、それを実行してしまうのが人間の本能なわけで。私は思わずウィザードの首に手を回して、ぎゅっと力をこめた。ウィザードは口端を上げて、一瞬私の方を見て、そして叫んだ。

「瞬間移動魔法[Teleportation]!!」

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