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【Side:璃斗】

謎の浮遊感を感じ、閉じていた目を開くと、目の前には真っ青な海と空が広がった。

それを綺麗、と思っている暇はなかったけれど。

「なっんで……！！」

空中にワープしてんのよッ！！


「悪い、ミスった。」

そんなことをいってる間にも体は重力に従い落下していく。物凄い速さで。マントと髪がはためく様は、よく見るRPGゲームのオープニングのようで、なんかファンタジーチック………とか思ってないんだからねっ！嘘です、ちょっと思いました。

というか、早くこの状況をどうにかしないと…！！

「早くどうにかっ」

やばい、もう地面が近い。私の人生オワタ。せっかく劇的な旅が始まろうとしていたのに、こんなことで死ぬなんて笑えないわ…！

と、思っていると体が思いっきり横に引っ張られる。そちらを見れば、ウィザードがいつの間に取り出したのか、ガムをくちゃくちゃとさせて私の腕を掴んでいた。もちろん、現在進行形で落下している。不思議なことに、こんなにもすごい風圧なのに、ウィザードのサングラスは微動だにしない。

「よし、俺に掴まっておけよ。じゃねぇと体なくなるぞ。」

思わず耳を疑った。体がなくなる！？どういうことなの、と聞きたかったけど、それよりも目の前の破天荒な魔法使いの言うことを聞いて、そいつにこれでもかというくらいの力で抱きつく。ジェットコースターとかで、落ちるときに目の前の安全バーに思いっきり掴まるのと同じ原理だ。落下するのに比例して、私の腕の力も強まっていく。


いよいよ目前まで迫った地面に、どう対処するのか気になるけど、とてもじゃないが目を開けていられることができない。


「Gravity(重力魔法)！」

耳元で、ウィザードの大きな声が何か英語を言ったのが聞こえた。だけど、英語の評定がひどい私には理解できない。

次の瞬間、体がふわっと止まった。あれだけ凄いスピードで落下していたのに、今度はふわふわと浮遊感に襲われる。恐る恐る目を開けてみれば、それと同時に、足が何かに当たる。地面だった。