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↑逆転↓御斗戯世界

第4章 深いのはお好き?

【Side: 璃斗】

動揺と恥ずかしさで、もう壊れそうだった。人生二回目のキスがまさかこんな激しい、所謂ディープキスなんて数日前の私は想像できなかっただろう。いや、できるほうがおかしいけど。

目の前のアイツは、じっと私の顔を見つめている。目を閉じることもせず私と視線をぶつけるウィザード。羞恥でexplodeするわ!殺す気か!

自分のキス顔なんてみたことない─あたりまえ体操だ─けど、きっとブサイクに違いない。なんか体に力が入らないから、顔が緩むし、酸素不足で苦しくて涙目だし、顔はりんごのように真っ赤だし最悪だ。

でも一番、こいつのキスに嫌悪感を抱かない自分が最悪だ!


剣道部で鍛えたはずの足に力が入らなくて、おまけに、本当に苦しくなってきた。こんなことなら、もっと勉強しておくべきだった。呼吸とか全然する暇ないし、体に力が入らないし、恥ずかしさで死ねるし、メリットはどこにあるんだろうか。

きっと大人になればわかるんだろうけど、今の私には何一つわからなかった。ただ、少し気持ちいいかなとは思…いや、私は認めないぞっ…!そんな破廉恥な!

(もう…だめ…!)

こんな時にあの剣道部のセクハラ顧問の顔が浮かんだ。いつもキスの話をしているからだきっと。先生はまるで、「夢の国へようこそ!」とどこかのネズミのように私を、気絶という新世界に誘っているようだった。

そして終に、私の意識は夢の国(仮)に招待された。遠くでネズミのカップルとふてぶてしいクマが手を振っていた。

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