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↑逆転↓御斗戯世界

第6章 笑って

【Side:璃斗】


いつの間にか、胸から苛々が消えていた。それに、もうどうでもいいやと思っていた感情もなくなった。

今は純粋に、知りたい、という感情が心を占めていた。ここの世界のこと、私じゃなきゃ駄目な理由、どうしてウィザードが私にこんなにも構うのか。

「教えてくれるよね?私の知りたいこと。」

「あぁ。すべて、お前の質問に答える。だから、行くな。」

また、行くな、と弱々しく言った。彼は大切なことを何度も繰り返し言う癖があるらしい。

「なら!!」

いきなり私が大きい声を出したから、一瞬ウィザードがビクッと肩を揺らした。それほど余裕がないと思うと、自分が優位に立っているようで、少し優越感に浸った。

「とりあえず、お腹へった!!」

さっきまでの憂鬱感は完全に消え、私は笑った。ここにきて、初めて心から笑ったかもしれない。

「そう、だな!しょうがねぇな!俺が飯作ってやるよ。」

私が笑うと、ウィザードも表情を一変させ、私の腕を掴んでいた手の力を優しいものへとした。

このとき、何故かウィザードが笑ってくれて良かった、と思った。

でも、そこで私の意識は途絶えた。

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