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第8章 お勉強の時間です。

【Side: ウィザード】

『何か欲しいものはあるかい?』

オーガストは毎日、妻のクレアにそう聞いた。そう聞かれたときに、欲しいものを言うと、次の日には必ず用意してくれていた。決して高価なものを要求した訳ではないが、どうしてそんなにすぐ用意できるのか、そんな金がどこに…?

初めは、もしかしたらオーガストの知り合いに貴族がいるのかとも思ったが、周りの人間がいうには、オーガストはクレアと結婚する前は、周りと同じように貧しくひっそりと暮らしていたらしい。

『何か欲しいものはあるかい?』

ある日、そう聞かれたクレアは、鍋の様子を見ていて、適当な生返事をした。

『そうね、隣の家の子のような、可愛い子供が欲しいわね。』


もちろん、クレアは早く子供を授かりたい、という意味で、ほとんど無意識に言った言葉だった。二人の間には中々子供ができず、隣の家の元気そうな女の子を見ていていつもそう思っていた。

さすがにオーガストもこればかりは持ってこれないだろうと、クレアは特に気にもしなかった。


しかし次の日、クレアはソファーの上で寝ている、よく知った少女に目を見張った。

『オーガスト、この子は…』

『あぁ、君が頼んだモノだよ。』

『でも、この子、』

『何か欲しいものはあるかい?』

『どうして…この子、』



血塗れなの…?

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