秘書のお仕事
第3章 社内
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あたしは社長室を出て、エレベーターへ乗り込んだ
「『あ」』
丁度そこにいたのは、朝に見た清掃員らしき男だった
『今朝はありがとうございました』
親切に教えてくれて…
「いや別に、ちゃんと行けたか?」
『えっと…まあ…一応』
「そりゃよかった」
ふと、男の左胸に付いてある名札が目に留まった
『…羽瀬涼(ハセ リョウ)…』
「え?あ、うん」
羽瀬という男は、頷いた
『羽瀬さんって呼んでもいいですか?』
「何でもいいぞ」
エレベーターが一階で止まると
あたしたちは下りた
「新入社員ってことは…23くらい?」
『いや…22です』
「へえ、同い年じゃん」
羽瀬は少し、顔を緩ませた
『マジですか?じゃあ友達みたいですね』
「だな、名前なんて言うんだ?」
エレベーターのすぐ隣にある喫煙室の前で、
あたしたちは雑談するため立ち止まった
『相沢千晴です』