秘書のお仕事
第3章 社内
「じゃあ、千晴だな」
『…///』
あたしはつい、俯いてしまった
「どうした?」
『いえ…呼び捨てされるの…彼氏以来で…』
「…恥ずかしい?」
『ちょっとだけ…』
本当のことなんだ
女友達にだって、呼び捨てなんてほとんどされない
親にだって、兄弟にだって…
唯一言ってくれたのが、別れた彼だけだったから…
「俺のこと、呼び捨てにしていいぞ?」
『いや…それも…』
恥ずかしいし…
「呼べよ」
『…』
「涼って」
『…涼…///』
涼はニカッと笑って、あたしの腕を軽く叩いた
「照れんなって、ダチだろ?
わかんないことあったら俺に聞け、な?」
『うん』
心が晴れる思いだった
鬼社長への復讐だけに身を投じる人生になるのかと思いきや、
初日から友達が出来るなんて…
「今日はもう帰るのか?」
『あ、うん、そうなの』
いつの間にか、敬語も抜けていた
「そっか…じゃあまた明日な」
『バイバイ、ほんとにありがとう』
「任せろー」
会社内だから、大きく手を振ることも出来なかったけど
あたしの中では、大きく大きく手を振っていた