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秘書のお仕事

第1章 合格






『相沢千晴(アイザワ チハル)です、よろしくお願いします』



あたしは出来るだけ柔らかい笑顔を作った


少しでも気を抜けば、すぐにがちがちになって、きっと今回も大失敗すると思ったからだ





「どうぞ、おかけ下さい」




あたしの前に座る面接官は、ほほ笑んで手を伸ばした



『失礼します』




軽く会釈し、椅子に腰掛ける





「では今回は…我社に入社したいとのことで…―――」





面接官は、手元の資料に目を落しながら話しはじめた







今のところは、順調

あとは練習した通り、質問に答えればいいだけ






「―――では、あなたの得意分野を教えて下さい」






『はい、私はまず、接客が得意ですし―――』






よく見ると、面接官はかっこよかった



あたしが必死に喋っているのを、ニコニコとしながら見ている




そんなに見られたら…照れる






「では、次の質問です―――」




座っているからわかんないけど、きっと背は高いんだろうな



スラッとして、肩も広くて…







「それでは現在のところ、恋人はいらっしゃいますか?」




『はい、この前別れたばかりで…』




「で?」




え?





『別れたばかりです…』



「そうですか」




面接官は紙に書き留めていった




待てよ、今この人、"恋人の有無"を聞いてきたよね…?










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