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白い雪のような

第3章 違う本心

惺と会わなければここに来ている意味はない。

洸太はまたしても夜の離れに向かう。

待ってくれているという確信と、
押さえきれない欲望が洸太を逸らせる。

襖を音も立てずに開け、
体を滑り込ませる。

横になっている惺は
まだ気づいていないのか動く気配もない。

急に不安が過る。

「惺…兄…?」

返事はない。


ドクンッ!!


心臓が大きな音を立てて跳ね上がった。

「…起きてよ!惺兄!」

布団に駆け寄ってみると、
翳りのある顔に表情が戻った。

「あ…来てたんだ…ちょっとうたた寝しちゃってた」

洸太を認識した惺は
目を擦りながら体を起こした。

体の中でさーっと止まっていたものが
流れるような感覚が襲った。

ほっと息をついた。




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