向かいのお兄さん
第9章 祭
歩いてるうちに、あたしは後ろにはみ出した
履き慣れていないため、下駄が痛いのだ
それでも必死についていく
『…』
気がつけば、直也が隣にいた
あたしとは目も合わせないで、ゆったり歩いている
…何で、何にも喋ってくんないのかな?
別に喋って欲しいわけじゃないよ!!
でも黙ったままで…なんか怖いな
『祭、楽しいね』
「…」
せっかくあたしが話を振ってやったのに、直也は無視する
『ちょ…あんたに言ってんだけど…』
ドンッと軽く直也を小突いた瞬間
直也はあたしの腕を引っ張った
『?』
そのまま、皆とは離れるように道を逸れていく
あたしは皆の方をチラチラと見ながら
直也の後ろをついていった