向かいのお兄さん
第17章 だから…
「神崎君は、よく頑張るね」
「そんなことないっす…」
そう答えながら、やはり花作りに没頭する直也を
おじさんは優しく見守った
「…頭、いいらしいね…もっと他の就職先も、あったんじゃないか?」
「何でそんなこと言うんすか…?」
「ここじゃあまり、給料を上げることも出来ないよ?」
「…それは…生活できりゃ、それでいいんす…」
直也の手が止まった
力が抜けたように、ポンッと花ごと手を膝の上に乗せる
「俺は…」
直也の顔色が曇った
しかしそれ以上、口を開こうとはしなかった
「…僕が神崎君を、誘っちまったからかい?」
「…そのことは、感謝してます」
けれどそれはきっかけに過ぎないんだ
本当は…
本当に
花を飾りたかったから…
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