向かいのお兄さん
第17章 だから…
ある日の帰り道
その日偶然にも時間が重なり、あの人と一緒に電車を降りた
「あ」
「あ」
お互い顔を見合わせて、くすくすと笑った
「君って高校生だよね、名前なんていうの?」
「神崎直也って…いう」
「神崎か…なんかカッコイイね」
途中の道のりも
一緒だった
本当にびっくりした
電車でしか会えない人だと思っていたのに…
「あたしは加川綾子(カガワ アヤコ)って言うの
一回生だよ」
明るく
振る舞うんだな
それからしばらく、俺と綾子は行きや帰りにたびたび喋った
内容は本当にどうでもいい話
退屈じゃないのか?って俺の話も、真剣に耳を傾けてくれる
いつからか
そんな綾子に
恋心を抱きはじめたんだ