向かいのお兄さん
第19章 心から
センター試験の、3週間前になった
あたしの中の不安は日に日に募り
よく眠れない日も、たくさん続いた
「体調管理は、しっかりしとけ」
『わかってますよ隊長~』
あたしは隈の出来た目元をむにゅむにゅとマッサージし
シャーペンを手にした
「にしても、さみぃー」
直也は後ろから、ピッタリあたしにくっついて来た
寒いのも当たり前だ
もうすぐ今年も終わってしまう
そんな季節なんだから…
「あっためて」
『今勉強してるから』
「なぁ美咲~」
あたしは不機嫌そうに振り向いて、直也の首に腕を回した
『これでいい?』
「ううん、足りない」
『こう?』
「もっと」
あたしは力いっぱい直也を抱きしめた
抱きしめ過ぎて、腕に痺れが走るくらい…