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向かいのお兄さん

第19章 心から





額で動きを止めた手は


そのままあたしの髪をぐしゃぐしゃにした




顔までぐしゃぐしゃになったあたしは

声にもならない声を出して



ペタンと腰を下ろした





『なんで…なんで…なんでなんで…
なん…で…』




乱れた髪から手を落とし


何度も膝を叩いた





痛くなんてない



そんなことより、歪んで引っ張れた口元の方が


もっと痛かった





胸の奥の方が



もっともっと…痛かった










とめどなく溢れ出す涙の意味を

教えてほしかった






笑わなきゃ

喜ばなきゃ

沸き上がる嬉しい気持ちを噛み締めたいのに







あたしは




あたしは




あたしは…






『悲しぃよぉ…つらぃよぉ…寂し…ぃ
馬鹿…あたし、馬鹿ぁあぁ…』





直也の顔が




あたしの裏切りをまざまざと見せつけられた

直也の顔が…







あたしを











苦しめるんだ…













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