向かいのお兄さん
第20章 あたしもね
やっと、駅が見えてきた
『…』
もう少しだ、と足を速める
しかし電車は到着した
『ま…待って…』
無人駅なので、電車に乗り込むことが出来たら
それでよかった
あたしは階段を駆け上がってホームに足を乗せた
と同時に
電車の扉が閉まった
『…』
ゆっくりと動き出す電車を、あたしは追いかける
『待って、お願い!!乗せて!!』
待ってくれる
はずがなかった
あたしはホームの端のフェンスに
ガシャンと身を放り投げ
そのまま泣き崩れた
次の電車は
1時間後にしか来ない
あたしは
もうダメだ