向かいのお兄さん
第20章 あたしもね
『…何で来てくれたの?』
「朝っぱらから松浦家が騒がしいなと思って」
『…』
途中はしばらく
それ以上は話さなかった
でも直也はずっと握っていてくれて
あたしの手は
もう自由に動かせるくらい、あったまっていた
『…』
あたしは
どうしたらいいんだろう
直也を突き放したあたしを
直也はどう思ってるんだろう
それ以上に
あたしは直也を
どう思ってるのかな
「あ、間違えた、こっちホテル行く方向だった」
『はあ!!!???』
驚いて振り返るあたしに、直也は微笑した横顔を見せた
「嘘だって」
『っ…てめー…』
あたしは直也の腕を小突いた
直也もあたしの頭を小突き返してきた
『脳細胞死んだー!!』
「死なねーよ」