向かいのお兄さん
第21章 神さま
「美咲ちゃん!?」
和樹の声が聞こえ、驚いて後ろを向いた
「何してんのこんなとこで!?」
『…ちょっと』
和樹は車の窓から顔を出していた
今から、どこかへ向かうのだろうか
「それより…聞いた!?」
『何を…?』
「連絡入って…直也が目ぇ覚ましたって!!!」
虚ろに映っていた世界が
鮮明になった
『…嘘…』
あたしはなりふり構わず
雪を蹴飛ばすように和樹の方へ走った
『今から病院、行くの!?』
「うん、美咲ちゃんも…」
『乗せてって!!!』
和樹が助手席の扉を開けると、あたしは急いで飛び乗った
直也が
目を覚ました
『っ…』
まだ泣くな…あたし…