向かいのお兄さん
第22章 入り混じり
和樹は家に帰った
もう夜も遅く、小さい弟たちの世話もあるため
明日にまた来るそうだ
あたしは…
ガラ…
窓の外を眺めていた直也が
ゆっくりとこっちを振り返った
『…』
あたしは何を話せばいいかもわからず
とりあえず椅子に座った
「どーも…」
『…ども』
よそよそしい挨拶に、違和感しか覚えない
直也は手元のランプをつけた
薄暗い病室に、柔らかい明かりが灯る
『…さっきは…ごめんなさい』
「…え?」
『手…引っ張ったり…怒鳴ったりして…』
「いや全然、…ってかむしろ、可愛い子に構ってもらえて嬉しいよ」
優しい明かりに
優しい笑顔が映し出される
あたしはそんな直也の顔を
見ていられない