向かいのお兄さん
第22章 入り混じり
「なあ…」
『…?』
「俺と…知り合いだったの?」
『…』
"少しでも話し掛けましょう"
『そうだよ』
直也は目をパチクリさせ、苦笑した
「何か…ごめんね」
『…ううん、謝らないで』
謝らないといけないのは…あたしだから
それにもう…泣きそうだから…
「名前、何て言うの?」
『…松浦…美咲』
「美咲ちゃんか、いい名前」
あたしは黙って首を横に振った
こんな会話を、何で今さらやらなきゃならないのか…
『記憶…どんな風にないの?』
「…」
直也は少し上を向いて考え出した
「何があったのかが、わかんね」
『…へぇ』
「でも最近、1番印象深かったことは…あるよ…」