向かいのお兄さん
第22章 入り混じり
「え!?どした!?」
またあたしは何も言えないで、首を横に振った
振るたびに、涙が溢れてこぼれた
「だ、大丈夫…?」
今度は何度も頷いた
ギュウッとすぼめた顔を、ずっと下に向ける
すると涙は頬を伝わないで
鼻の先からポタポタと落ちた
「何か何か何か…」
直也は身の周りをバンバンと叩き回りながら、
ティッシュをあたしに差し出した
「ハンカチだったら男前なんだけどな」
『…』
あたしはティッシュを受け取って
涙を拭った
もし記憶のある直也だったら
今のあたしにどうしていてくれたのかな…?
『…怪我は…大丈夫なの?』
あたしはハァ…と熱い息を吐きながら尋ねた
「うん、まあ…ただの打撲ですんだみたい」
頭を軽く掻いて、直也は笑った