向かいのお兄さん
第23章 ごめんね
『あのさ…』
あたしは椅子から立ち上がると、直也のベッドへ腰掛けた
真っ白で清潔そうなシーツにシワが寄る
『あたしと初めてまともに喋った時のこと、覚えてる?』
「…」
あたしは背中を向けていたから、直也がどんな顔をしてるのかわからないけど
「んー…昨日のことだよな」
と答えた
『…違うよ』
あたしは少し体の向きを変え、直也と並ぶように座り直した
『あたしのお尻、揉んだんだよ』
「え、マジ!?」
あたしが意地悪そうに笑ってみせると
直也はわざとらしくあたしのお尻に目線を落とした
「確かに、これは触りたくもなるわな~」
『趣味が親父』
「かもな~」
くっくっくと笑う顔は
やっぱりあたしの知っている直也なんだ