向かいのお兄さん
第24章 今この時間
あたしは机に、持ってきた鞄を置いた
「今日は早くに来たんだね」
『うん
…勉強ー、教えてもらおうと思って』
あたしは分厚く大きな教科書を台にしながら
直也のベッドを机代わりにした
「俺なんか教えられないって…!!」
『何言ってんの、頭いいくせに』
「いいって言うか…ってか何で知ってるの?」
不思議そうな顔をする直也に、あたしは笑みを作った
『あたしは…知ってるから』
あたしはノートを広げ、ペンを持った
『直也はいっぱい、教えてくれたんだよ?』
「…」
口先を尖らせて
黙り込むその姿
何だか、謝りたさそうに見えて
あたしはゆっくり直也から視線を落とした