向かいのお兄さん
第24章 今この時間
『「退院!?」』
あたしも和樹も、つい大声で叫んでしまった
そんなあたしたちを見て、医者も苦笑する
「はい、記憶はまだ回復してないとは言え、身体の傷はもう完治しています。
病院にいるよりも、もといた環境にあった方がまた記憶が戻るかもしれませんしね」
あたしも和樹も、顔を見合わせて喜んだ
本当に今度こそ
直也の記憶が戻るかもしれない
「なーおや~」
和樹は病室に入ると、機嫌よく直也の肩を組んだ
「どうしたの?」
「やったじゃん、退院おめでとーっ」
「ああ」
直也は、"聞いたよ"という感じで笑ってみせた