向かいのお兄さん
第35章 彼女
駅から、トボトボと家に帰る
もう本当に
重い
足が上手く
動かない
直也に会って話したいけど、会いたくない
『…』
でも無理なの
だって直也、この時間帯は頑張って働いてるから…
トラックに
次々と荷物が積まれていく
人が行き来する流れは途絶えなくて
あたしもその流れに
身を投じたくなる
だって
ほら…
直也、いた…
『…』
ついでに
由紀先輩の姿も見えて
あたしは
早足で通り過ぎようとした
その時だった
「ちょっと…」
『!?』
いきなり腕を掴まれると、そのまま家の横まで引っ張られた
一瞬直也かと思ったりもしたけれど
直也よりも少し華奢な指だったから、直也じゃないな
とすぐにわかった
『ど…したの、和樹?』
「どうしたもこうしたもないじゃんよー!!」
あたしの手を離して振り向いた和樹の顔は
まるで世界の滅亡でも目の当たりにしたような顔をしていた
「何やってんのお前ら!!何で最近ぎくしゃくしてんの!?
マジで俺見てらんないんだって…!!」
『…そう言われても…』