向かいのお兄さん
第38章 不器用なあんた
「ちょっと直也ぁ!!」
由紀先輩は、逃げる直也を追い掛けた
直也は奪った携帯を操作しながら、
駐車場をぐるぐるぐるぐると走り回る
『…』
わけわからん…
「あった」
直也が画面を見ながらそう言ったとき
由紀先輩の手が携帯に届いた
「あっ」
しかし届いただけで、つかみ取るところまで行かず
携帯は投げ出され
回転したままコンクリートの上を滑った
ちょうど
あたしの目の前に
『…?』
あたしは携帯を拾って、中身を見てみた
『…あ…』
そこには、紛れも無いあたしと直也が写っていた