向かいのお兄さん
第38章 不器用なあんた
「居酒屋でエッチしたとこ、由紀に撮られてた」
『…嘘だい』
「ほんとだい」
直也は一歩分だけあたしに寄ると
そのまま話しはじめた
「由紀とは、昔付き合ってた。でも別れた」
『そりゃそーだろうね』
「そんで居酒屋で由紀に声掛けられて、また付き合って欲しいって言われた」
居酒屋で出会ったこと自体は
本当に偶然だった
『だから…また付き合ったんじゃないの?』
「のんのん、断ったって」
顔の前で人差し指をチッチと振る動作に腹が立ち、
その手を無理矢理下ろさせる