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向かいのお兄さん

第38章 不器用なあんた





『ちょ…ちょっと…待ってよ!!』



死角の多い壁際まで来ると、あたしは直也の手を払った





「どした?」





『意味わかんない…何なのさ…説明してよ』





「じゃあチューしてから…」

『せ・つ・め・い!!』




あたしは近づけてくる直也の顔を押しのけた



直也はちぇっと悔しそうな顔を見せてから


あたしの前で、


頭を下げた






『…』





「ごめんな」






『…何が』






顔をちょっとこっちへ向けて、折り曲げていた腰をスッと伸ばした






「動画、撮られてた」















『は?』















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