向かいのお兄さん
第39章 元通り
「幸せ…」
『…』
直也は、鏡を通して見つめ合っていたあたしから
視線を落とした
あたしはそのまま、俯く直也に、頭を置いた
『何で…?』
聞きたい
「わかんない…なんか、嬉しい」
直也の気持ち、いっぱい聞きたい
『何で嬉しいの?』
確かめたいの
「…ずっと、こうしたかったから」
直也が、あたしと同じように想っていてくれるのか
『ずっとって?』
こんなに聞いたら
意地悪かな…?
「…わかんない」
『…直也』
「何…?」
『あたしも、嬉しい』
何で?とは
聞かないでよね
「何で?」
馬鹿…
『わかんない』
直也はもう一度顔を上げると
また同じように呟いた
「嬉しい…」