向かいのお兄さん
第39章 元通り
そのとき
自分の目を疑った
『…直也?』
「…」
少し上げた顔は
またすぐに下に隠される
『…前向いて?』
「やだ」
『何でもかんでもやだって言うな』
「やなもんはやだ」
『…』
さらにあたしの肩に沈む直也
『じゃあ…キスしたい』
「…」
さすがに、これには頷くだろう
「やだ」
あれ?
『いいじゃん、キスさせてよ』
「…後で」
『今』
「や…やだって言って…」
あたしは無理やり直也の腕をどけて
振り向いて
抱きしめて
キスをした
「…///」
やだやだと言い張っていたくせに
ちょっとだけ背中を曲げて
あたしの身長に合わせてくれる