向かいのお兄さん
第40章 これからも
「でな…ここしばらく、会えなかったじゃん?」
『語弊あり。直也が会おうとしてくれなかったんでしょ?』
「だからあれは美咲のために…」
『はいはいはいはい』
言葉を遮られてムッとする直也にもたれ掛かる
直也は腕を広げて、大きくあたしを抱きしめた
『あたしを思ってそうしてくれたんだよね?』
「うん」
まだちょっと
不機嫌そうな頷きだ
「でな…ずっと…こうしたかった」
『お風呂?』
「違う、なんか…抱きしめたかった…」
『…』
また
声が震えていた
「もう…死ぬかと思ったし」
『いつ?』
「美咲に別れようって言われたとき」
『…そっか』
顔であたしの髪を撫でてくる直也
一体あたしに
どうして欲しいんだろ?