向かいのお兄さん
第42章 お正月
『明けましておめでとうございます~』
あたしは朝起きるとすぐに一階に下りた
そこではすでにお父さんもお母さんも朝食の準備をしていて…
ああ、お察しの通り、おせちね
「美咲、久しぶりだね~」
昨日の夜中に帰ってきたお父さんは、あたしに向かって大きく腕を広げた
『ハグとかしないし』
「そんな~(泣)」
いじけるお父さんを無視して、あたしは用意しておいた鞄を掴む
「美咲ぃ、お父さんと初詣行こうよ~」
『ごめん、無理』
「美咲ぃぃ(泣)」
久しぶりに会って、こんな態度は可哀相かとも思うけれど
あたしには先客がいるんで
『じゃあお母さん、行ってきまーす』
「はいはい、いってらっしゃい」
マフラーや手袋をつけ、あたしは軽い足取りで家を出た