向かいのお兄さん
第50章 俺だけのもの
ポツポツポツ…ポツ…
屋根を打ち付けていた雨音は
いつの間にか、間隔を空けて耳に入ってきていた
ふと外へ目を向けると、雨は上がっていた
『あ、晴れた』
「そうだね」
少し嬉しそうな顔をして、美咲は走り出す
ちょっと、寂しかったり…
『お兄ちゃん、雨上がった!!』
美咲は空を見上げた
続いて後ろをついて来る直也の方に振り返った
『…お兄ちゃん?』
…つもりだったが
自分の後を、直也はついて来ていない
『お兄ちゃん…?』
もう一度、体育館の前を覗いてみるが
そこにも直也の姿はない
『…お兄ちゃーん…』
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