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向かいのお兄さん

第51章 甘い形で示したい



―――――



「ところで、このお菓子作りは直也に言ってもいいわけ?」




『だ、ダメです!!!』




あたしは思わず、持っていたクリームをチョコにぶちまけてしまった



そんなことに構う暇もないほど、あたしは必死になる




『内緒ですよ、もちろん内緒ですよ!!
言ったら雅也さん、絶交しますからね!!』



「はいはいはいはい」




雅也さんは手を広げ、その次にテーブルを指差した





「散らかすな」






『…すいません…』





そう


あたしは直也に、ドッキリとして渡したい


どうせ直也のことだから、バレンタインデーなんて忘れちゃってるだろうし…



むしろ忘れてる方が、あたしとしては気持ちが楽だ





「睦まじいねー…」




『照れます』







その日作ったプチチョコケーキは、物凄い出来だった



どう凄かったかというと、生地がスルメ並にねちっこかったのだ…











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