向かいのお兄さん
第51章 甘い形で示したい
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作業を進めてから1時間くらい経ったときだった
「…美咲ちゃん、直也のこと好きなんだねー」
『…はい?』
あたしは生地をオーブンに入れようとしていた手を止めた
「そんなに熱心にお菓子作りを教えてほしいくらいさー」
『ま…まぁ、いつもお世話になってるし…///』
「へーえ」
雅也さんはニヤニヤしながら、あたしの方を見ている
あたしはバッとそっちを向いた
『言っときますけど…変なことしないでくださいね』
「はいはーい、わかってるわかってる。
可愛い弟の彼女にゃ手を出さないよ~」
その不真面目な言い草に、本心を疑われる
『絶対ですよ』
「はぁいはい。
いいからさっさと焼けい」
『へーい…』
あたしは生地をオーブンに入れた