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向かいのお兄さん

第52章 わだかまり


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迎えた日曜日



あたしは、目が覚めると机に突っ伏して寝ていたことに気がついた




『ありゃ…』




辺りを見回すと、食器や材料が散らかっていた



そしてすぐ隣では、あたしと同じように机で俯いて寝ている派手な色の頭があった




『…』




あたしの肩には上着…


多分、雅也さんが羽織っていたものだ





『…親切』




一晩過ぎたキッチンは、心底冷える



そうだ…
昨日はもうひとつお菓子を作ろうとして

生地を寝かしてる間に…寝ちゃったんだ








まだ朝は早い時間だった



お母さんにはキッチンに来るなと伝えておいたから

この散らかった状態を見られずに済んだ






『雅也さん、おはようございます』




「んー…」




あたしが揺すると


雅也さんは目元をこすりながら、ゆっくりと顔を上げた










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