向かいのお兄さん
第52章 わだかまり
「何であいつと会ってんだよ…?」
『…』
「昨日からずっと…車止まってたじゃん」
何してたんだ?
って言いたげな様子に
素直に答えなければ…と思ってしまう
『お菓子の作り方…教わってたの』
「嘘だろ」
『嘘じゃない…』
最悪、バレンタインデーのことだけでもばれなきゃいい…
「嘘つくなよ…」
『だから、嘘じゃないよ』
なんか…
心臓が
痛いや…
「菓子作りなんて、本読んどけば出来るだろ」
『でも雅也さん、パティシエなんだよ?』
あたしは直也の顔を見た
直也はあたしを
見ているようで、見ていないようだった
「パティシエなんて他にもいる」
『でも、せっかくの知り合いなんだし…』
「一晩中一緒だったんだろ…!!?」
直也…
悲しんでる…