向かいのお兄さん
第52章 わだかまり
『…』
直也が行ってしまった方をそっと覗くと
机の前にある椅子に座って
机に突っ伏す直也が見えた
あたしは出来るだけ足音を立てないようにして
直也の後ろに立った
いつもより、しょんぼりしている背中…
何をしてあげられるのかな…
『直也…』
あたしは直也の肩に手を置いて
その首もとに顔を沈めた
直也は一瞬ピクリと動いたけれど
顔を上げようとはしない
『あたしは…直也が一番好きだから…』
「…」
今さらながら
痛感した
自分の気持ちを伝えたとしても
相手に信じてもらえない限り、自分の気持ちは嘘にさえなってしまうかも知れないんだ…
直也に信じてもらうしか…
どうしようもないんだ…