向かいのお兄さん
第53章 崩れ
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その次の日…バレンタインデーの、前日だった
だいぶ日も落ちてきたと思って時計を見ると、もうすぐ5時になろうとしていた
『もうすぐ…』
雅也さんが来る時間だ…
でも、今日は断る…
雅也さんには悪いけど、帰ってもらう…
もともとそのつもりだったから、あたしは昼の間にお菓子を作っておいた
明日、直也に渡すための…
玄関の前で、車が止まる音がした
あたしは急いで外に出て、雅也さんに挨拶した
『こんにちは』
「ちわ~っ、うわぁ、ついに明日だねー」
雅也さんは後ろの、佐藤造花店の様子を窺いながら、あたしに言った
「さ、何作るか決めた?」
『実は、もう作ったんです』
「え?」